スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ナベサダ好きのオジサマの話[雇用不安と介護の現場[その1]]

どこでナベサダのオジサマの話を読んだのかを思い出しました。
「国民投票/住民投票 情報室」運営委員のコラム「室内アンテナ」にあったのです。どうしても「国民投票」の話になってしまいます。

http://www.ref-info.net/column/index.html

雇用不安と介護の現場[その1]

山口浩司(特別養護老人ホーム生活相談員)
 私は、現在特別養護老人ホームで生活相談員として、介護現場の管理、運営を任されています。
  昨今の介護職離れは、我が施設でも深刻な問題となっており、昨年11月に2名、12月にも2名の退職者がありました。その穴埋めのために私は年末年始も休みなしで現場に入り込んでいる状況です。
  12月に退職した32歳既婚者のA君は、とても優しい男で本当にお年寄りが好きなんだなというのが、仕事ぶりから滲み出ていました。
「子供が産まれて。もう生活できないんです。貯金も底をついて。僕にはこの仕事しかないと思ってたから、ずっと迷ってたんですけど…。でも…もう…」涙で声にならない彼を、引き止めることなんて私にはできませんでした。
  国家資格である介護福祉士の資格を持っていても、「生活していけない」ことを理由に介護職を辞めざるを得ない者が後を絶たず、介護の世界は慢性的な人材不足状態が続いています。
  リストラ。派遣切り。世間では、人材不足の介護業界と、全く逆の状況がおこっています。そして、リストラ、派遣切りにあった多くの人が、景気が回復するまでの一時しのぎで、これから介護現場に流れ込んでくるのではないかと思っています。
  早く人手を補充してもらい楽になりたいと思う反面、「きつく汚い介護の仕事だけど、仕事がないからとりあえず」という人が、この仕事を始めることに不安も感じています。
「介護の仕事=汚い・きつい」と言われます。その「汚い・きつい」とは、おそらくお年寄りの排泄物の始末などを指してそのように言われているのだと思います。しかし、我々は、排泄物の始末を案外「汚い・きつい」とは思っていないのです。
  施設入所者である、77歳の男性Iさんは、半年前に1ヶ月ほど入院したことをきっかけに歩行困難な状態になり、車椅子で退院されました。それからは、生きる意欲が一気に低下し、終日居室で寝たきり、排泄はオムツの状態になりました。食事の時も起きようとされず、居室に配膳しますが、機嫌が悪い時は食事も拒否されます。以前は、明るくおしゃべりなIさんでしたが、職員の声かけにも無視、あまりしつこく声かけをすると「やまかしい」と怒鳴られます。職員はIさんの対応に困っていました。
  そんなIさんの心を動かしたのが、冒頭に紹介した職員A君でした。若い頃からジャズが大好きだったIさんの部屋にCDラジカセを持ち込み、毎日Iさんの部屋でジャズを流し、出来る限りIさんと寄り添ったA君。それを続けていくうちに、徐々にIさんは職員の声かけにも応えてくれるようになりました。
「Iさんて渡辺貞夫の大ファンやねんて。オムツ交換の時、言ってくれた」
  職員間で、Iさんへの興味も深まってきました。
  そんなある日、A君が私に「むちゃなお願いがあるんですが」と言ってきました。聞くと。
「2ヵ月後に、大阪で渡辺貞夫のコンサートがあるんです。それにIさんを連れて行ってあげたいんです」
  リスクの高い計画でしたが、私はIさんの家族に了解を得て、コンサートチケットを予約しました。そして、Iさんに
「12月に渡辺貞夫のコンサートに行きましょか」
「・・・。嘘ばっかり言うな」
「嘘ちゃいますよ。これ。チケットです」
  本人に、コンサートのチラシとチケットを見せると、表情が一気に変わりました。
「ホンマに連れていってくれるんか!」。
  その日から、Iさんは確実に変わりました。
  食事の時は、車椅子でリビングに出てこられるようになり。離床時間も急速に増えてきました。
  コンサートまであと2週間に迫ったある日。オムツでの対応で、もう尿意はないと思われていたIさんが、私に「トイレに連れて行ってくれ」といいました。
  驚いた私は、すぐにトイレに誘導し、便座に移乗介助をしようとすると「立ってやる」と男子用便器を指されました。私は困りましたが、本人がそういうならと思い、手すりを持って立ってもらいズボンをおろしオムツを外しました。足をしっかりと支えた状態でしばらく様子を見ていると、オシッコが出てきました。Iさんは立つことに慣れておられないため、途中で足は振るえだしオシッコは飛び散り、私の手にたくさんかかりましたが、Iさんの立ち小便を私は必死に支えました。
  その後、Iさんのオムツはパンツに変わり、立位の状態も日増しに安定し、確実に立ち小便の成功率は上がっていきました。
  そして、コンサートの日。Iさんは、失禁することもなく、シンフォニーホールのトイレで立ち小便を済ませたあと、十数年ぶりの渡辺貞夫のコンサートを満喫されました。
「やっぱりナベサダは最高やな」
  最高のコンサートでオムツなんてしたくない。立ち小便は、そんなIさんのプライドだったんだと思います。
  最近では、夕食後、立小便を済ませ居室で職員とコーヒーを飲みながら渡辺貞夫のCDを聞くことが、Iさんの日課です。ただ、残念なのは、そこにA君がいないことです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ちたりた

Author:ちたりた
Silmaril Necktie から移転



最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。